堺市別所の開発現場調査報告

 昨年10月15日実施の野鳥観察会で偶然遭遇した堺市別所の開発現場(写真④)に1月28日、山本幹事と私、鉢ヶ峯の自然を守る会スタッフ3人の計5人で調査に行ってきました。
 現場は、堺かつらぎ線の上別所バス停(観察会スタート地点)から和田川沿いを上流に行った所です。川に仮設橋を架け竹藪を切り開いて、工事車両の出入口にしています(写真①)。
 そこから尾根に造られた進入路を400~500mほど行った所が土砂埋立現場です。
 出入口に設置されている許可標識(許可者はいずれも大阪府知事)によると、
1.工事期間は、許可日の令和4年5月30日から3年間。
2.林地開発面積は、27,850㎡(約2.8㏊、甲子園グランド面積1.3㏊の約2倍)
3.開発目的は農地の改良ですが、本来の目的と思われる土砂埋立面積は16,936㎡
(約1.7㏊)、埋立土砂予定量は、215,316㎥です。
 さらに、開発現場には砂防指定地(和田川流域)があり、その面積は262.53㎡。

 開発現場周辺には堺市RL(レッドリスト)掲載種のヒツジグサやジュンサイが生育するため池があり、オオミズゴケ(蘚類)やヤマトサンショウウオ(旧名カスミサンショウウオ)なども見つかっています。棚田(谷津田やつだ)付近では、秋にはワレモコウやツリガネニンジンの花が咲き、南部丘陵を代表する里山風景が見られた所です(写真⑤)。
 野鳥では同RL掲載種のサシバやオオタカ、ミサゴ、ノスリ、ハヤブサのほかチョウゲンボウなどのタカ類を始め、モズやアリスイ、ジョウビタキ、カワラヒワ、ホオジロなどが生息し、アカシデが芽吹き桜が咲く春には、周りの森からウグイスやメジロのさえずりも聞こえて来ます。
 棚田があった農地は既に建設資材の置き場となっていて、現在、土砂埋立現場の排水を和田川に流すたための沈砂池と排水溝設置工事が行われています(写真②③)。

 開発地は「堺市緑の保全と創出に関する条例」に指定する「保全緑地」に該当せず、大阪府の許可のもとに工事が行われています。
 いったん失われた自然を元に戻すことは難しいです。当地区ではこれまでも同様の開発が繰り返し行われていて、槙尾山や天野山と堺市の南部丘陵地とをつなぐ「緑の回廊」の要でもある別所の緑は、虫食い状態になってしまっています。生物多様性活動団体として登録(2018年堺市、2023年大阪府)している当会としても、今後の自然環境に及ぼす影響等について見守り続けたいと思います。(横島)
        

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